IPOした場合、創業者は莫大な税金がかかる?
これから起業する人にとってはIPOというのは一つのゴールになるのかなと思います。
上場会社のオーナー経営者の節税対策なんて、一般的な人には関係ない話だけど、20代後半の頃、私の所属する金融機関では日本中のオーナー企業の経営者やご家族の税金対策(会社の法人税だけでなく、オーナー個人の所得税や、贈与税相続税の対策である)を行っていた。
お客様だけのオーダーメイドの金融相談業務なのでプライベートバンキングと呼ばれている。
オーナーといっても初代から2代目まで状況は様々だが、どんなお金持ちも悩みは大体同じなのだ。
子供の教育、争族と呼ばれる家族間のお金にまつわるもめごと、愛人、税金、、、
外から見ると裕福な部分しか見えないけれど、話を聞いてみると色々あるなぁと日々感じたことをたまに思い出す。
最近、私の周りや、学生時代の友達の投資先がIPOによってニューリッチになる事があったのでIPOした際に創業者はどのように節税対策をしていたか、気になる方もいるかなと思い記載してみようと思います。
上場企業のオーナーは役員報酬よりも、配当金として労務の対価を受け取っているというのはよく知られた話です。
ソフトバンクグループの孫正義社長は、役員報酬は1億円程度だが、配当金は年間100億円以上だ。
またファーストリテイリングの柳井氏の配当金も年間80億円以上といわれている。
そのため、上場企業から配当をもらう際の税金をいかに安くできるかというのが、彼らが最初に考えることなのだ。
上場会社から配当金をもらった場合の税率は20%と思われているけど、これは一般人の話。
株式シェア3%以上保有する創業者などが受ける配当に対する課税は総合課税(最高税率55%)だ。
【配当控除についてはここでは考えないものとする】
配当に対して50%以上の課税を逃れるために、賢い創業者は何をしているかと自身の資産管理会社を設立し、ここで配当金を受けるのだ。
このように対策することで資産管理会社が配当金に対して支払う税率は0%となる。
【関係会社間の配当金の益金不算入と呼ばれる制度がある】
上場会社から配当を受けるという行為は同じだが、条件によって支払う税率が0%~55%まで変わってきてしまうというのが税法の怖いところだ。
上場会社の会社オーナーの配当金対策について整理すると以下のようになる。
Q.税金について意識している上場会社の経営者はどうしているか?
A.個人で2.9%の株を保有して、それ以外は個人で作った資産管理会社に譲渡し、その資産管理会社を通じて間接的に上場会社の経営権を取得している。
Q2.資産管理会社に譲渡する際に、税率20%で譲渡益課税が発生するのではないか?
A2.譲渡益課税が出てしまうので、株を動かす最大のチャンスはIPOするまでに行う事。
なぜなら、IPOしてしまうとその価格で資産管理会社にも譲渡しなくてはいけないが、この金額は一般的に株式公開前の価格と比べてつり上がってしまうから。
もしくはこの10年間では、サブプライムショックやリーマンショック、東日本震災などの株価の低い時に移すのもタイミングの一つであった。
当事務所では、将来的にIPOを目指す経営者も応援しております。
代表が無報酬で、個人的に経営に関与させていただくということもさせていただいておりますので、なんなりとご相談ください。