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2016.1.20.

年金受給者は確定申告するとトク?

公的年金等についてはご存知の方が多いと思いますが、国民年金、厚生年金、老齢年金や確定給付企業年金契約に基づいて支給される年金などをいいます。

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公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつその年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には所得税の確定申告の必要がありません。

ただし、所得税の確定申告が不要でも、下記に該当する場合は市・県民税の申告が必要です。
1.所得税の還付を請求するなどで公的年金等の源泉徴収票に記載されていない控除等を追加する。(例えば以下のような所得控除を追加する場合)
・公的年金から差し引かれていない社会保険料控除
・医療費控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
2.公的年金等に係る雑所得以外の所得がある。
公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告は必要ありませんが、市・県民税申告はその所得の金額に関わらず必要となります。

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それでは上記を踏まえてこの制度について説明したいと思います。
年金受給者の確定申告不要制度は、確定申告をする必要がないとする制度ですが、場合によっては確定申告をした方が有利になることもあります。

例えば、社会保険料料控除、生命保険料控除や医療費控除を受けることができる方などは、確定申告をすることで源泉徴収された金額が還付される可能性があります。
受け取っている年金から所得税が源泉徴収されていない場合(源泉徴収金額が0円と記載されている場合)は、医療費などが多額にあっても税金は還付されませんのでご注意ください。

それではわざわざ確定申告しない方が有利な場合とは、どんな時でしょうか。
それは申告することでかえって所得税が追加徴収されてしまうケースです。具体的には2カ所以上から公的年金等を受け取っている場合です。

一か所ごとでは源泉徴収されなかったり徴収金額が低い場合でも確定申告によって所得が合算されることで、所得税の支払いが追加で発生してしまうことがあるのです。

そもそも年金が支払われるときに、年間で一定額を超える支払いがされる場合は所得税が源泉徴収されています。この源泉徴収の対象となる一定額とはその年の年金の支払額が、65歳未満で108万円以上、65歳以上で158万円以上の場合です。

ですので、国民年金、厚生年金とは別に確定給付企業年金などを受け取っている方の場合、上記金額までの場合は確定申告されていないのです。

このような方が、他の所得控除(医療費)などで還付をもらえないかと考え、あえて確定申告した場合にはどうなるのでしょう。

公的年金等の場合は合計額が65歳未満の方は70万円超、65歳以上の方は120万超となると所得が発生します。
ここから、各種所得控除をして最終的に所得税が発生するかどうか決まるので一概には言えないのですが、一か所ごとでは源泉徴収されなかった場合や徴収金額が低かった場合でも確定申告によって所得が合算されることで、所得税が発生してしまうことが考えられます。

そのため、2カ所以上から公的年金等を受け取っている方の場合は、医療費控除など源泉徴収票に記載されていない控除をあえて申告することで、税金が増える可能性もありますし、税金が減る可能性もありますので、確定申告をする前に検討をする必要があります。

なお、年金を受給するときに2カ所以上に扶養親族等申告書を提出している方の場合、記載された内容によっては各種控除が二重申告となっている場合があり、この場合も本来的には確定申告を行う必要があるのでしょう(そこまで高齢者の方に把握できるわけないですが)。

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