やまと総合会計事務所

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2016.1.27.

平成28年税制改正大綱

平成28年度の税制改正は、過去3年間に及ぶアベノミクスの経済効果を後押しする目的で、昨年10月に新たに発表された「新・三本の矢」である、「希望を生み出す強い経済」、「夢を紡ぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の各政策の実現に関連する内容が反映されている。

強い経済に関しては、企業の収益力を高めて国内投資や賃上げに取り組むように促す見地から、法人実効税率を「20%台」へ引下げるように改正される。

子育て支援に関しては、働く意欲のある女性が働きやすい環境整備と若い世代の結婚・子育て支援環境の整備のための施策が講じられる。
例えば、世代間の助け合いによる子育てを支援する観点から、三世代同居に対応した住宅リフォームに係る特例が導入される。

社会保障に関しては、ますます厳しくなる財政事情の下で、財源確保のために既に決定済みの消費税率の10%への引上げが平成29年4月に確実に実施されると同時に、低所得者への配慮として軽減税率制度が導入されることになった。

一方、非正規雇用比率の上昇や夫婦共働き世帯の増加などの構造変化に対応すべき各種の所得控除や税率構造の改正に関しては、総合的・一体的な見直しを検討するとして先送りされた。

個人所得課税

【1】空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋(昭和56年5月31日以前に建築された家屋であって、その相続の開始の直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったものに限る。被相続人居住用家屋という。)及び被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等をその相続により取得した個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に、次に掲げる譲渡(その相続の時から相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に限り、その譲渡の対価の額が1億円を超えるものを除く。)をした場合には、その譲渡に係る譲渡所得の金額について居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用できることとする。

1.その被相続人居住用家屋(次に掲げる要件を満たすものに限る。)の譲渡又はその被相続人居住用家屋とともにするその敷地の用に供されている土地等の譲渡

① その相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されたことがないこと。
② その譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合するものであること。

2.その被相続人居住用家屋(1の①に掲げる要件を満たすものに限る。)の除却をした後におけるその敷地の用に供されている土地等の譲渡

① その相続の時から除却の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されたことがないこと。

この制度は、適切な管理が行われない空き家が地域住民の生活環境に悪影響を及ぼしている現状を踏まえ、空き家の発生を抑制する観点から、相続により生じた空き家であって旧耐震基準しか満たしていないものに関して、相続人が必要な耐震改修または除却を行なった上で、家屋又は敷地を売却した場合について特別控除が導入されるものである。

【2】住宅の三世代同居改修工事等に係る特例の創設

住宅の三世代同居改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額の特例

個人が所有する居住用の家屋について一定の三世代同居改修工事を含む増改築等をして、その居住用の家屋を平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に、その者の居住の用に供した場合を、特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の対象に追加して、その住宅借入金等の年末残高(1,000万円を限度)の区分に応じ、それぞれ次に定める割合に相当する金額の合計額を所得税の額から控除する。

① 一定の三世代同居改修工事に係る工事費用(250万円を限度)に相当する住宅借入金等の年末残高・・・2%
② ①以外の住宅借入金等の年末残高・・・1%

なお、この特例は住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除との選択適用とされ、控除期間は5年になる。

既存住宅に係る三世代同居改修工事をした場合の所得税額の特別控除

個人が所有する居住用の家屋について一定の三世代同居改修工事をして、その居住用の家屋を平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に、その者の居住の用に供した場合を、既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の適用対象に追加して、その三世代同居改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額をその年分の所得税の額から控除する。

(注1)その年の前年以前3年内の各年分において本税額控除の適用を受けた者はその年分においては本税額控除の適用を受けることはできない。
(注2)その年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合には、本税額控除は適用されない。

【3】居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限の2年延長

【4】特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限の2年延長

【5】通勤手当の非課税限度額が現行の月額10万円から月額15万円に引上げられる。

この改正は、新幹線を利用した地方都市から大都市圏への通勤者の増加という実態を踏まえた措置で、平成28年1月1日以後に受けるべき通勤手当について適用される。

法人課税

【1】法人税の税率の段階的引下げ

① 平成28年4月1日以後に開始する事業年度については、23.4%になる。
② 平成30年4月1日以後に開始する事業年度については、23.2%になる。

このほか地方法人課税に関しては、所得割の標準税率が平成27年度の6.0%から平成28年度に3.6%に引下げられる。
この結果、国、地方を通じた法人実効税率は、平成27年度の32.11%に対して、平成28年度に29.97%、平成30年度には29.74%になる。

【2】減価償却制度の見直し

平成28年4月1日以後に取得する建物付属設備及び構築物の償却方法について、定率法を廃止し、定額法を適用する。所得税に関しても同様とされる。
従来、平成19年4月1日以後に取得した建物の償却方法に強制適用されていた定額法が、建物付属設備や構築物に拡大された。

【3】欠損金の繰越控除制度等の見直し

①青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度等の控除限度額の段階的な引下げ措置について、次の通り見直しされる。

事業年度開始日           控除限度割合

平成27年4月~平成28年3月    100分の65

平成28年4月~平成29年3月    100分の60

平成29年4月~平成30年3月    100分の55

平成30年4月~          100分の50

なお資本金1億円以下の中小企業は黒字の全額を差し引けることに変わりわない。

a.青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間等を現行の9年から10年に延長する措置
b.法人税の欠損金額に係る更正の期間制限及び更正の請求期間を現行の9年から10年に延長する措置

【4】地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

【5】交際費等の損金不算入制度の延長

交際費等の損金不算入制度について、その適用期限が2年延長されるとともに、接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限が2年延長される。

【6】中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置の2年延長

消費課税

【1】消費税の軽減税率制度

消費税の軽減税率制度が平成29年4月1日に導入される。あわせて、複数税率制度に対応した仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が平成33年4月1日から導入される。それまでの間については、現行の請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、区分経理に対応するための措置が講じられる。

軽減税率の対象品目と税率

軽減税率の対象となる課税資産の譲渡等は次の通りとし、軽減税率は6.24%(地方消費税と合わせて8%)とする。

1.飲食料品の譲渡(酒税法に規定する酒類、外食サービスを除く)
2.定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡

適格請求書等保存方式が導入されるまでの経過措置

1.このほか適格請求書等保存方式が導入されるまでの間における仕入税額控除制度については、現行の請求書保存方式を基本的に維持しつつ、区分経理に対応するための措置が講じられる。

2.売上げを税率の異なるごとに区分することが困難な中小事業者に対する売上税額の簡便計算に係る経過措置

基準期間における課税売上高が5,000万円以下である軽減対象課税資産の譲渡等を行う事業者が、平成29年4月1日から平成33年3月31日までの期間に、国内において行う課税資産の譲渡等を税率の異なるごとに区分することにつき困難な事情があるときは、通常の事業を行う連続する10営業日の課税資産の譲渡等に占める軽減対象課税資産の譲渡等の割合、又は卸売業及び小売業に係る課税仕入等に占める軽減対象課税資産の譲渡等にのみ要するものの割合を用いて、その期間の売上税額を簡便に計算することを認める措置が講じられる。

(注1)主として軽減対象課税資産の譲渡等を行う事業者が、割合の算定につき困難な事情があるときは、その割合を50%として計算することができる。

3.仕入れを税率の異なるごとに区分することが困難な中小事業者に対する仕入税額の簡便計算に係る経過措置

仕入れを税率の異なるごとに区分することが困難な中小事業者に対する仕入税額の簡便計算に係る経過措置が、上記2の売上税額に関する簡便計算と同様に講じられる。ただし、その期間は、平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間に限られる。

4.基準期間の課税売上高が5,000万円超である事業者にも、2及び3と同様の経過措置が講じられる。

この経過措置は、平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間に限られる。

納税環境の整備

【1】クレジットカード納付制度の創設

国税の納付手続について、国税を納付しようとする者がクレジットカードに係る事項につきインターネットを利用して行なう入力により納付しようとする場合には、国税庁長官が指定する納付受託者に納付を委託できることになる。

この改正は、平成29年1月4日以後に国税の納付を委託する場合について適用される。

【2】マイナンバー記載の対象書類の見直し

提出者等の個人番号(マイナンバー)を記載しなければならないこととされている税務関係書類(申告書及び調書等を除く)のうち、次に掲げる書類について、提出者等の個人番号の記載を要しないこととされた。

1.申告等の主たる手続と併せて提出され、又は申告等の後に関連して提出されると考えられる書類

(例)所得税の青色申告承認申請書、消費税簡易課税制度選択届出書など

2.税務署長等には提出されない書類であって提出者等の個人番号の記載を要しないこととした場合であっても所得把握の適正化・効率化を損なわないと考えられる書類

(例)非課税貯蓄申込書、財産形成非課税住宅貯蓄申込書など

(注1) 上記1の改正は平成29年1月1日以後提出する書類について、2の改正は平成28年4月1日以後に提出する書類について適用される。

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