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2016.11.22.

医院・クリニック独立開業の許認可手続き

医師における「開業」とは、医療法では「臨床研修等修了医師」が個人で「診療所」を開設することを言う。
※なお、医療法では「診療所」という単語だけを使用していますが、医師・クリニックは「診療所」の言い方を変えただけで同義語になります。

ところが、医療法上の診療所であれば直ちに公的医療保険による保険診療を行うことはできず、「自費医療」での診察になります。医療法上の診察所として開設に必要な手続きの後に「保険医療機関」として指定を受けてはじめて保険診療を受けられるのです。今回、医師が無床診療所を開設し、保険診療を開始するのに必要な手続きについてご紹介します。

なお、医師が個人で無床診療所を開設する際に必要となる一般的な手続きであって、その他の事業所開設にあたり適用される各種法令については、他の事業所も同様に適用されます。

診療所開設における許認可手続き

【開設に必要な要件】

清潔を心がけ、防火・衛生・保安面での安全を考慮しなければなりません。診療で使用する電気・ガス・蒸気・光線を用いた器具については、危険防止装置を設置するなどの対策を講じなければなりません。また、臨床研修を受けた医師が管理者として常駐し、常勤の医師が3名以上いる場合は、原則として専属薬剤師を1名以上設置しなければなりません。

診断所の責任者は、診療所の待合室または受付付近のわかりやすい場所に以下の項目を掲示します。
ⅰ)管理者氏名  ⅱ)診療する医師の氏名  ⅲ)診療日と診察時間

【開設手続】

臨床研修等修了医師が診療所を開設する場合は、特別な許可は不要で、開設後10日以内都道府県知事に届出を提出する必要があります。しかし、必要な設備の基準を満たしていないと判断されたら、保健所が届出を受理してくれない、あるいは届出を保留にされることもあるので、届出の前に所轄の保健所と協議の上、開設の準備を進めることをおすすめします。

なお、平成16年4月1日以降に医師免許を取得した者については、臨床研修を修了しているものとみなされます。

保険医療機関における許認可手続き

【保険医療機関指定】

保険診療をする際には、健康保険法に基づく保険医療機関との指定を受けなければなりません。診療所を開設する者が所轄地方厚生局長(厚生局都道府県事務所)あてに申請し、指定を受けることができます。指定を受けたら、健康保険法及び国民健康保険法に基づく療養の給付ができる保険医療機関として、診察を受けた保険者に診療報酬を請求できるようになります。なお、保険医療機関指定の申請の際に必要な書類は下記の通りです。

ⅰ)診療所開設届出書(図1)
ⅱ)保険医の氏名、登録記号と番号ならびに診療科が明記された書類
ⅲ)管理者以外の医師がいれば、その数を明記した書類
ⅳ)通常週の診療日と診察時間(予定)
ⅴ)その他、適格性等を判断するために必要な書類

以上の書類の提出は毎月中旬で締め切りとなり、当月下旬に社会保険医療協議会の都道府県部会の審議が開催された際に審議され、翌月1日付で指定を受けることが慣例となっています。保険指定の日付は、保険診療をスタートさせる日でもあるので、あらかじめ所轄の厚生局都道府県事務所に相談し、添付書類に指定希望日を記載しておくと良いでしょう。

保険医療機関指定は、指定された日から6年間効力を有しますが、個人で開設した場合は、申し出がなければ自動更新されます。

【施設基準・特掲診療科の届出】

診療報酬請求で、算定の要件が事項では、個別に届出た後でなければ診療報酬の算定並びに請求が不可能となる場合があります。保険医療機関として指定を受けていなければ、個別の届け出は収受されないので、診療開始の段階で算定を希望する場合、所轄の厚生局都道府県事務所と協議し、保険指定申請と同時に届け出ることになります。

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